1. はじめに
夏の時期に不動産投資をスタートするのは、一見すると「閑散期」と敬遠されがちですが、実は非常に戦略的なタイミングです。本記事では、夏ならではの優位点や注意点を踏まえ、成功へつながる具体的なアクションを詳しく解説します。

私も昔は、夏は動かないほうがいいと思っていました。でも実際は、空室が埋まらない時期のため、手放したい気持ちになるオーナさんがいて、交渉が通りやすくて驚きますね。
2. 不動産市場における季節性と夏の位置付け
不動産市場には明確な季節性があります。
一般的に春(1~3月)は新生活需要で活発、秋(9~11月)は安定した取引期と言われています。
一方、夏(6~8月)は市場がやや停滞し、「閑散期」に分類されますが、その分「割安」で交渉の余地も生まれやすくなります。
特に7~9月は引っ越し需要が減少し、賃貸需要も鈍化するため、空室に悩むオーナーさんに働きかけやすい環境となります。

静かな時期こそ、投資家の出番です。周りが休んでいるときに動くと、思わぬ掘り出し物に出会えますよ。
3. 夏に始める投資のメリット
① 物件取得時の値引き交渉/割安で購入できるチャンス
夏は不動産仲介会社や売主が売却件数を確保したい時期。そのため購入希望者が少なく、価格交渉に応じやすい状態です。特に8月前には「とにかく成約を取りたい」状況に置かれるため、諸条件(価格や契約内容)が有利になる可能性があります。
② 1棟ものを建築する場合、サブリース契約における免責期間の短縮メリット
家賃保証型サブリースを利用する際、竣工時期が良いタイミングだと免責期間(家賃未保証期間)が短く設定される交渉材料になります。春と並び、8月竣工はそのひとつのポイントで、免責期間が短いほど早期収益化が可能です。
③ 引っ越し・リフォーム・設備導入などのコスト安
夏は不動産のみならず引っ越し業界も閑散期です。そのため引っ越し費用が割安になり、リノベ業者も比較的スケジュールに余裕があることが多く、工事コストや時間の調整も柔軟です。
④ リノベや準備期間を確保し、秋繁忙期に備えられる
夏に購入・竣工から入居募集までの準備期間を設けることで、より需要が高まる秋の繁忙期へ向けた賃貸戦略を整えることが可能。空室対策、広告設計、物件メンテナンスなどを余裕で進められます。
⑤ 空室リスクの低下(住み替えが少ない夏)と翌季の稼働確保
暑い時期にわざわざ引っ越す人は少ないため、既存の入居者が退居しづらく、安定した賃料収入が見込めます。また、夏場に空室があっても競合が少ないため
夏(6~8月)=退去少ない → 空室リスク低い
↓
準備期間に充てる(リフォーム・広告・写真)
↓
秋(9~11月)繁忙期で一気に入居
⑥ 民泊や季節型賃貸(リゾート物件)との相性が良い
観光地やリゾート地では、夏に民泊・短期賃貸の需要がピークを迎えます。軽井沢などでは、夏季に1泊数万円レベルの設定で高収益を上げられるケースもあります。
近年はインバウンドが回復しており、地方の観光地を中心に民泊投資を狙うチャンスも広がっています。
⑦ 賃料収入のインフレヘッジ、税制面メリット
不動産はインフレに強く、物価上昇とともに賃料・物件価値の上昇が期待できます。さらに、不動産取得税、登録免許税や減価償却などで損益通算による節税が可能で、初年度の資金負担を抑えつつ所得税削減にもつながります。
団信(団体信用生命保険)加入により、投資家に万一があってもローン返済リスクが遺族に残らないという安心もあります。
⑧ 地元帰省時など人脈・情報収集による未公開物件探索の好機
地方出身者は夏に帰省する機会が多く、地元の旧友や不動産業者、親戚との会話から、未公開の優良物件情報が得られることがあります。
これは地元目線の物件選定に有効な投資戦略です。
4. 夏特有の注意点とリスク
- 賃貸需要が下がるため、入居者募集には工夫と戦略が必要。見学者数が減るため広告や魅せ方重視。
- 施工中の暑さによる作業遅延(職人不足や熱中症対策など)に注意。
- 冷房電力、水道・清掃費など管理コストが増える可能性。
- 極めて稀に発生する地面師詐欺など、不動産詐欺への警戒も必要です。
5. 実践的な戦略・立地別アプローチ
1. 都市部ワンルーム型投資
- 狙うエリア
- 東京23区、大阪市、名古屋市など大都市中心部
- 駅徒歩10分以内、単身者需要が強いエリア
- 夏に買うメリット
- 購入競争が緩く、価格交渉が通りやすい
- 秋の繁忙期(9~11月)に入居募集を仕掛けられる
- 戦略のポイント
- 物件購入→夏のうちにリフォームやクリーニング
- 写真撮影・内装工夫(女性や学生を意識したカラーリング)
- 9月から内見募集をスタート、早期成約を狙う
- 補足戦略
- 都心は法人契約も狙えるので、家賃保証や長期安定につながる
- サブリース利用時は免責期間の短縮交渉がしやすい

都市部ワンルームは“地味だけど確実”な投資。私も最初はここから始めました。夏はライバルが少ないから、思い切って指値してみるのもアリですよ。
2. 地方ファミリー型・郊外物件投資
- 狙うエリア
- 地方都市や郊外のファミリー向け住宅地
- 小中学校・スーパー・病院が近く、生活利便性が高いエリア
- 夏に買うメリット
- 地方の物件はそもそも流通量が少なく、夏はさらに競争が緩い
- 帰省時に地元の未公開物件情報を仕入れやすい
- 戦略のポイント
- 夏に取得 → 退去・リフォームを済ませる
- 秋の転勤・異動シーズンに合わせて入居募集
- ファミリーは長期入居傾向が強いので安定収益化しやすい
- 補足戦略
- 地元ネットワークを活かすと、ネット未掲載の掘り出し物が見つかる
- 軽微なリフォーム(壁紙・床・水回り)で賃料アップ可能

私は青森出身なんですが、夏の帰省中に地元不動産屋を回ると“未公開だけど売りたい”って物件がけっこう出てきます。地方投資は人脈が最大の武器です。
3. リゾート・民泊型投資
- 狙うエリア
- 軽井沢、伊豆、沖縄、北海道など国内観光地
- インバウンド需要が見込める地域
- 夏に買うメリット
- 夏は観光需要ピークで収益試算がしやすい
- 直後の高稼働を狙える(民泊は夏だけで利益確保も可能)
- 戦略のポイント
- 夏前に購入→家具・家電・清掃体制を整える
- 繁忙期の稼働を狙い、オフシーズンは長期賃貸に切替も検討
- 自己利用+収益のハイブリッド運用も可能
- 補足戦略
- 地方自治体の民泊規制や管理体制を事前に確認
- 台風や雪害など季節リスクもシミュレーション必須

リゾート物件は夢がある反面、管理の手間もあります。でも、夏の繁忙期に一気に稼ぐ快感は大きいですね。自己利用できる物件だと“投資と趣味の両立”もできます。まあでもプロ向けですね。
戦略まとめ
- 都市部ワンルーム型:安定重視+秋の繁忙期狙い
- 地方ファミリー型:人脈活用+長期安定狙い
- リゾート・民泊型:短期高収益+自己利用も可能

立地によって戦い方はまったく違います。私の経験上、最初は“都市部ワンルーム”、慣れてきたら“地方ファミリー”や“リゾート民泊”に広げると安定感が出ます。ちなみに私は最初に地方アパレル1棟から始めました。正解はないと思います。
6. ケーススタディ|夏に不動産投資を始めた実例
ここでは、夏に物件を購入した投資家の成功事例と失敗事例を紹介します。
シミュレーションも交えて、戦略や注意点を分かりやすくまとめました。
1. 成功事例|夏に割安購入→秋に満室でキャッシュフロー安定
- 投資家プロフィール:会社員30代/初めての不動産投資
- 物件概要:東京都板橋区/築20年ワンルームマンション
- 購入価格:1,500万円
- 融資条件:金利1.7%/期間25年/フルローン
- 家賃設定:75,000円/管理費込み
成功のポイント
- 夏の閑散期に指値が通った
- 売り出し1,580万円 → 指値で1,500万円に成功
- 売主が早く現金化したく、交渉が有利だった
- 購入から秋までの準備期間を確保
- 7月購入 → 8月に原状回復&写真撮影
- 9月の繁忙期開始と同時に募集 → 1週間で入居申込
- 初年度から黒字化
- 毎月のローン返済:約62,000円
- 家賃収入75,000円 → 差引約13,000円/月の黒字スタート

まさに夏投資の王道パターンです。私もこういう流れで最初の物件を満室にできました。競争が少ないと、交渉も準備もスムーズです。
2. 失敗事例|サブリース免責期間で半年赤字に
- 投資家プロフィール:40代/副業投資家、地方在住
- 物件概要:埼玉県川口市/新築アパート1棟(4戸)
- 購入価格:6,000万円
- 融資条件:金利2.1%/期間30年/頭金なし
- 家賃設定:1戸65,000円
失敗の原因
- 免責期間を理解せず契約
- サブリース契約で3か月免責(家賃ゼロ)
- 夏の竣工で入居が伸び、免責後も2戸空室のまま
- 秋の繁忙期前に資金繰り悪化
- 毎月返済:約200,000円
- 入居2戸分の家賃130,000円 → 毎月7万円赤字
- 秋に満室化できたが精神的負担大
- 秋の繁忙期でなんとか満室化
- 「半年の赤字+ストレス」で売却を検討するほど追い込まれた

サブリースは免責期間と初期の空室リスクは本当に要注意です。半年赤字は精神的にキツいですね。
3. 学べること
- 成功例の共通点
- 夏に割安で買い、秋繁忙期までに準備完了
- 資金繰りに余裕があり、退去・空室リスクを先読みできた
- 失敗例の共通点
- 初期キャッシュフローの確認不足
- サブリースや免責期間などの条件を軽視

投資は『最初の半年』をどう乗り切るかが勝負です。夏に買うなら、秋の繁忙期までの資金繰りと戦略を必ず考えておきましょう。
7. まとめと今後の市場動向の展望
1. 夏に不動産投資を始める価値の総括
夏は「閑散期」という理由で避けられがちですが、逆に投資家にとっては以下のメリットがあります。
- 割安購入のチャンス:ライバルが少なく価格交渉が通りやすい
- 準備期間の確保:秋の繁忙期に向けてリフォーム・広告・戦略を整えられる
- 空室リスクの低下:住み替えが少なく、既存入居者の安定度が高い
- 民泊・リゾート収益期と重なる:夏に高稼働を狙いやすい
要するに、夏は「投資家が仕込みをして利益を最大化する季節」です。

夏に買った物件で大きく得した経験がある人を耳にします。静かな時期ほど、チャンスは転がっているんですよね。
2. 今後の市場動向と夏投資の展望
2025年以降の不動産市場は、以下のポイントが重要になってきます。
- インフレと金利動向
- 物価上昇が続けば、賃料は中長期的に上昇傾向
- ただし金利が上がるとローン負担も増えるため、早めの仕込みが有利
- 人口減少と二極化
- 地方は空室リスクが高まる一方、都市部は賃貸需要が集中
- 夏投資では都市部ワンルーム/駅近/築浅が安定戦略
- 民泊・短期賃貸の回復と規制強化
- インバウンド需要はコロナ前水準に回復傾向
- ただし、民泊新法や自治体の規制を無視すると即アウト
- 夏に仕込み、繁忙期に高稼働を狙う投資は依然有効
- 不動産テックの進化
- AIによる賃料査定、オンライン内見、クラウド管理が当たり前に
- 夏の準備期間に最新ツールを導入すると秋以降の管理が楽になる
3. 夏投資で行動する読者へのアドバイス
- まずは1件、小さく動く
夏に割安で買い、秋に満室にできると自信になる - 数字と現地確認を徹底
キャッシュフロー表と現地チェックは絶対に省略しない - 余裕資金を半年分は確保
初期の赤字や想定外の修繕にも耐えられるように準備

投資は“動いた人”だけが結果をつかめます。夏はチャンスの季節。準備期間を活かして、まずは一歩を踏み出してみてください。
いかがでしょうか?
仕事的にも夏季休暇があったりと、比較的自由に動ける時間もあるのではないでしょうか。
そういう時こそ行動です!
行動しないと何も始まりません!
それでは最後まで読んでいただきましてありがとうございました!!