2025年、日本の不動産市場に再び熱い視線が注がれています。
背景にあるのは、歴史的な円安と世界的なインフレ。
とりわけ中国人富裕層を中心とした外国人投資家による“不動産爆買い”の動きが加速し、東京や大阪といった大都市だけでなく、観光地や地方都市にも波及しています。
この現象は一時的なブームなのか、それとも構造的な変化の始まりなのか。
今回は、外国人マネー流入の背景、狙われる物件の特徴、市場への影響、そして日本人投資家が取るべき戦略まで詳しく解説します。
第1章|再び訪れた“爆買い”の波(深掘り版)
2025年の日本不動産市場では、外国人投資家の動きが再び活発化しています。
特に目立つのが中国人富裕層による大量購入で、東京や大阪の高級マンションだけでなく、札幌・福岡・京都・沖縄といった地方都市やリゾート地にも資金が流れ込んでいます。
背景には、歴史的な円安(1ドル=160円台水準)と世界的インフレがあります。
海外通貨建てで資産を持つ投資家にとって、日本の不動産は実質的に「割引価格」で買える計算になります。
さらに、中国本土や香港では不動産規制や景気減速により、投資先を国外に求める動きが強まっています。
安全資産としての日本不動産は、政治的リスクが低く、法制度が安定している点も評価されています。
SNSや投資コミュニティでは、円安を背景に「今はバーゲンセール」といった表現で物件購入事例が共有されており、現金一括決済によるスピード契約も多発しています。

私は円安局面の外国人マネー流入を何度も見てきましたが、今回はインフレと海外市場の停滞が重なり、以前よりも勢いが強い印象です。「買えるうちに大量に」という動きが、特に現金富裕層で加速しています。
第2章|狙われる物件の特徴
外国人投資家のターゲットは明確です。
共通しているのは「価値が落ちにくく、貸しやすく、売りやすい」物件です。
主な対象は、
- 都心の高級分譲マンション:港区・中央区・渋谷区のブランドマンション(海外ブランドホテルが監修するレジデンスなど)
- ホテル・サービスアパートメント:訪日観光需要の高まりを見越した収益運用が可能
- 観光地の収益物件:京都の町家、沖縄のリゾートコンドミニアムなど
- 再開発エリアの土地:IR予定地や大規模商業施設開発予定地周辺
選定基準としては、
- 国際的な知名度がある立地(外国人にも説明しやすく、将来的な売却先が見つかりやすい)
- 高稼働率が見込める用途(ホテル・短期賃貸など)
- 現金購入の優位性を活かせる市場(競争相手が融資承認を待つ間に契約を決められる)
特に現金一括購入は、売主にとっても安心感があり、値引き交渉にも強い武器になります。
これにより、日本人投資家が融資で時間をかけている間に物件が外国人に取られるケースが多発しています。
エリア | 主な地域 | 狙われる物件タイプ | 特徴 |
---|---|---|---|
東京圏 | 港区(六本木・赤坂・虎ノ門) | 高級マンション、サービスアパートメント | 国際的ブランド力、富裕層人気 |
東京圏 | 中央区(銀座・晴海・勝どき) | ブランドマンション、タワーマンション | 高い賃貸需要と資産価値 |
東京圏 | 渋谷区(広尾・恵比寿) | 高級住宅街、短期賃貸向け物件 | 外国人居住者の多いエリア |
大阪圏 | 北区(梅田) | 再開発エリアのタワマン、ホテル | 商業集積と再開発期待 |
大阪圏 | 中央区(心斎橋・難波) | インバウンド向け収益物件 | 観光・商業の中心地 |
観光都市 | 京都市(祇園・嵐山・東山) | 町家リノベ物件、ホテル用地 | 世界的観光都市、短期賃貸需要 |
観光都市 | 沖縄(那覇・恩納村) | リゾートコンドミニアム、別荘 | 海外観光客人気のリゾート地 |
地方都市 | 札幌市(大通・すすきの) | 宿泊施設、賃貸マンション | 冬季観光需要、安定賃貸需要 |
地方都市 | 金沢市、加賀温泉郷 | 旅館、観光施設用不動産 | 文化・温泉資源を活用 |

現金一括は本当に強い。私自身も競売や急ぎ売り物件の現場で、外国人投資家が即決・即金で持っていく姿を何度も目にしています。日本人投資家が勝つには、情報の速さか、条件面での差別化が必要です。
第3章|市場への影響と懸念
外国人マネーの急速な流入は、日本の不動産市場に短期的な追い風をもたらします。
特に供給が限られる都心や観光地では、取引価格の上昇スピードが加速します。
例えば、港区の新築高級マンションでは、販売開始から数週間で外国人購入比率が3割を超えるケースもあり、坪単価が想定より10〜15%高く設定される事例も出ています。
この価格上昇は、保有しているオーナーにとっては資産価値の向上というメリットがありますが、同時に新規購入を検討する日本人投資家や実需層には大きな障壁になります。
住宅ローンの金利が上がらずとも、物件価格が高騰すれば月々の返済額は増え、結果として購買層が限定されます。
また、外国人投資家の一部は短期保有を前提にしており、売却タイミングによっては市場価格の乱高下を引き起こす恐れがあります。
さらに、観光地の物件が投資用として長期空室になると、地域の生活環境や商店街の活気低下にもつながります。

私は、短期的な価格上昇は一見メリットのようでいて、長期では市場を歪めるリスクがあると感じています。特に地方都市では、外国人需要の影響で地元住民が自分の街で家を買えなくなる状況も現実的に起きています。
第4章|日本人投資家の対抗戦略
外国人投資家と同じ土俵で価格競争するのは現実的ではありません。
そこで日本人投資家が取りうる戦略は、大きく3つに分けられます。
- 情報のスピード勝負
不動産仲介業者や管理会社、売主とのネットワークを密にし、物件が一般公開される前に情報を入手する“水面下取引”のチャンスを増やす。
→ これは現金一括に匹敵する競争力になります。 - ターゲットのずらし
外国人が好む物件は「都心の高級・有名観光地」に偏ります。
そこで、日本人投資家は郊外の駅近築古物件や再生可能な商業ビル、小規模アパートなど、競争が薄い市場に注目する。
→ 再生後に賃貸需要が高まるエリアは、外国人投資家が後追いで参入する可能性もあり、売却益が狙えます。 - 小口化やREITによる間接参入
大規模物件や都心の一等地を直接購入できなくても、不動産クラウドファンディングやREIT(不動産投資信託)を活用することで、外国人マネーが押し上げる価格上昇の恩恵を間接的に受けられます。
加えて、将来の為替動向も考慮し、円高局面になったときの買い時を逃さない資金準備も重要です。
戦略カテゴリー | チェック項目 |
---|---|
情報戦略 | 仲介業者や管理会社とのネットワークを強化する |
一般公開前の水面下物件情報を入手する | |
競売・公売物件情報を定期チェックする | |
ターゲットのずらし | 郊外の駅近築古・再生物件を狙う |
商業ビルや複合用途など専門性の高いジャンルに参入する | |
再開発予定のないニッチエリアを開拓する | |
資金戦略 | 融資スピードを上げる銀行パートナーを確保する |
小口化投資(クラファン)やREITで間接参入する | |
円高局面に備えて現金ポジションを一定割合保持する | |
売却・出口戦略 | 外国人需要が高まる前に仕込み、需要ピークで売却する |
賃貸需要の季節変動や人口動態データを分析する | |
長期保有と短期売却の両シナリオを想定する |

私はこれまで外国人投資家と競合した物件で何度も負けていますが、学んだのは「戦場を選べ」ということです。情報戦・市場選び・投資手法の柔軟性、この3つを磨けば、まだ十分に勝機はあると思います。
まとめ
2025年、日本の不動産市場には再び外国人投資家の波が押し寄せています。
円安と世界的インフレ、海外市場の規制や低迷が重なり、中国人富裕層をはじめとする外国人マネーが都市部や観光地の物件を次々と買い進めています。
彼らが狙うのは、資産価値が落ちにくく、国際的な需要が見込める高級物件やリゾート物件。
現金一括購入という圧倒的スピードで取引を成立させるため、日本人投資家が同じ土俵で競うのは難しいのが現実です。
しかし、戦い方を変えればチャンスはあります。
情報入手の早さ、ニッチ市場への参入、小口化やREITを活用した間接投資、そして出口戦略の明確化。
これらを組み合わせれば、外国人マネーがもたらす市場変化を逆に味方にすることも可能です。
投資環境は変化し続けます。
重要なのは、ニュースや為替、市場の動きを敏感に捉え、柔軟に戦略を切り替える姿勢です。
今回の外国人投資家の“爆買い”現象も、一時的なブームとして流すのではなく、長期的な市場の構造変化として捉え、自分の投資方針にどう取り込むかを考えるべきタイミングに来ています。
それでは最後まで読んでいただきましてありがとうございました!